Overridingメイキング第1回: 企画がはじまるまで

こんにちは、Boltzです。今回はPC音ゲーであるOverriding制作過程を連載する企画の第1回目ということで、企画を始めた時の様子を書いていきたいと思います。

 

Overridingとは、Unityで制作したPC用音ゲーです。6レーンそれぞれに1つのボタンが対応しており、音楽に合わせてタイミングよくボタンを押すことによってスコアを獲得します。

 

今回はこのOverridingが制作されるきっかけとなった流れを順を追って説明していけたらと思います。

このゲームには、去年のサークル活動とつながる部分もあるので、話は去年のサークル設立時に遡ります。

このサークル「経済マルチメディア研究会」は、去年7月に私とけい、ナゾノクサの3人で立ち上げたサークルです。
去年は「PCを用いた創作活動による問題解決」をテーマに、デザインの学習やプレゼン手法の研究、観光学、郷土研究などをしていました。

ただ、新入生を迎えるにあたって、サークルとしてひとつの芯を持った活動をできているか?(諸活動からサークル像が見えてくるか)という疑問がありました。3人で相談した結果、サークルの活動内容から変えてみようということになりました。

 

話は変わりますが、私は高校の頃からQpic(九大で物理を研究しているサークル)やKMC(京大でマイコンを研究しているサークル)、traP(東工大でデジタル創作をしているサークル)などの団体に憧れがありました。
外から見て、メンバー各々の得意分野(企画、レベルデザイン、グラフィック、音楽など)を組み合わせてひとつのゲームをつくるという体験が楽しそうに思えたからです。

高校の頃、大学に入ったら是非そのような創作系団体に所属したい!と思っていました。

長崎大学に入学して、そんな創作のできる団体があるのか調べてみたところ、残念ながら私のサーチには引っかかりませんでした。
そのため、前々から長崎大学にゲーム制作のサークルを自分でつくりたい!または誰か作ってくれ!と考えていました。
ようするに、今回の転機はちょうどいい部分があったのです。

 

ゲーム制作の活動を軸に置くとなると、これまでのサークルの活動とは整合性がとれるかという疑問もありました。
仮に活動内容をゲーム制作に変更しても各々の得意分野を生かして、PCで「マルチメディアコンテンツ」を制作し、発表するというサークルの活動とも矛盾するものにはならないと考えられます。
そのため、活動内容を思い切ってゲーム制作に変更しました。

大学主催のサークル勧誘の機会や、仮入会イベントなどを行った後に6人くらい新入部員が来てくれました。

ゲーム制作サークルとなった「経済マルチメディア研究会」はメンバーを増強しつつ制作力を鍛えていかなければなりません。
そのために、内製のゲームを制作して対外的に発表する必要があります。

対外的に発表する場として長大祭を選べば、それまでに内製の開発もいくらかできるのではないかと考えられました。

斯くして4月に団体ツイッターアカウントで「長大祭にゲームセンターを出展する」と宣言。新入部員の有志にはプログラミングについて学んでもらいながら、発表するゲームの企画を立ててもらうことになりました。一通り講座が終わった後は、各々の考えたゲームの企画プレゼン会をすることにしました。

 

一方で、後輩にばかりプランを作らせるわけにはいかず、自分も何かゲームの案を持ってこなければと思っていました。

今年度の長大祭で発表するゲームは、当サークルにとっても初めての作品となるので、サークルのあり方や活動に関わるものなどを、何らかの形でゲームに入れられないかと思いました。

そのため、4月時点では情報やコンピュータ、プログラミングを連想させるゲームをつくりたいと考えていました。

当時のメモです。迷走していた感じがあります。

やがてパリティチェックとかメモリ領域の確保を題材にしたシューティングゲームを作ろうと思いつきました。

しかしあまりにもコアな内容になる感じがして、それは誰にヒットするんだ、などとセルフ突っ込みをやっていました。

 

なかなかこれと言った案が出ずに悶々とした日々を送っていました。そして、あるとき(その当時新しい音楽ゲームだったCytus2を遊んでいる時だったかな)音楽ゲームをつくろ〜と閃きました

閃くと同時に、音ゲーをこのタイミングにつくることで得られるメリットがいくつか浮かんできました。

まず、長崎大学の他のサークルの方々とつながりが持てること。4月の新入生勧誘の時点で、サークルに作曲家はいませんでした。ゲーム制作サークルを続けるにあたって、フリー音源に頼り続けるのもどうかと思っていました。音楽ゲームを作れば、楽曲の募集などで学内の作曲家と繋がれると考えられます。

また、長大祭に展示するアーケードゲームとして、ある手法をとれば来場者に音楽ゲームの楽しさを伝えられるのではないかと思ったからでもあります。

当時ハマっていたゲームはスマートフォンアプリのCytus2でした。高校生の頃からRayarkのゲームはプレイしており、一見新しいタイプの音楽ゲームに見えるけれども、一般的な音ゲーの核となる部分を持っており、音ゲー(というジャンル)の楽しさを十分感じられるゲームデザインにとても惹かれていました。

この設計思想(新しさを感じさせつつ、音楽を聴かせてノーツを叩かせるゲームデザイン)をアーケードゲームに生かすことで、プレイヤーによりダイレクトにアーケード音楽ゲームの楽しさを伝えられるのではないかと思いました。

最初に書いたとおり、Overridingは6レーンの音ゲーです。
中央4レーンに対応する4ボタンは一般の音ゲーと同じく上を向いています(SoundVoltexなどを想像していただけるとわかりやすいと思います)
新しい部分としては、両サイド2レーンは操作デバイスの側面についているところです。

 

Cytusシリーズは譜面配置から、曲のどのパートを叩かせているのかプレイヤーに考えさせるゲームデザインをしていました。

Deemoはピアノパートを聴かせて、基本的にピアノパートをプレイヤーに演奏させるゲームデザインでした。

Overridingでは側面ボタンはリズムパート、4ボタンはメロディパートを基本的に当てています。プレイヤーにそれぞれのパート(メロディ、リズム)を聞き分けてもらいながら、それぞれ異なるボタンで演奏してもらえば、「音楽を聴いてプレイする」という音ゲー上達の一歩を踏み出してもらうことにもつながるのではないかと考えています。

 

……というような主旨でプレゼン資料を作り、5月の企画プレゼンで企画を通しました。

そのあとの専らの課題は作曲家探しでした。同じサークル棟を使用している音楽サークルにプレゼン資料を持ってお邪魔させていただいたり、部員の友達をあたったりして作曲を依頼する中で、長大生の作曲家さんにプレイ可能な楽曲を4曲前後制作していただける見通しが立ち、制作が本格的に始まりました。

 

いま思い返してみると、かなり見切り発車で無茶な計画だったと思います。今年度のはじめから付き合ってくれた作曲家の方、グラフィック担当の方、本当にありがとうございます!!この連載中にもう何回かお礼をいうことになるだろうけど……。

 

さて、企画が通って実現の見通しが立ったところで、第1回企画編はおしまいです。実現の見通しが立ってよかったですね!!!

 

……アーティストの方をみつけてくるだけで実現の見通しが立つのでしょうか?立ちませんね。これから、Unityで音楽ゲームを成立させるためにプログラミングをしていかなければなりません。第2回はプログラム編の予定です!

第2回では、どのサイトを参考にして、どうアルゴリズムを組んでいったか書いていこうと思います。

 

この記事で紹介している音楽ゲーム「Overriding」は、
11/23, 24に行われる長崎大学の学祭で遊べます。

教育学部棟2階23番講義室にて展示しています!
ぜひ遊びに来てください!!