CEDEC2019でペラコンに参加しました

お久しぶりです、Boltzです。
最近githubのオクトキャットに猫の要素が含まれていると気づいて、ねこじゃん!!!と嬉しくなっています。

さて、今回の内容はCEDEC2019のペラコン体験記です。

まずここで人類が4分割されたはずです。
CEDECとは何か…わかる人/わからない人
ペラコンとは何か…わかる人/わからない人

とりあえず最初にCEDECとペラコンの意味から解説します。

 

CEDECとは

みんな大好きCESAゲーム白書を書いているCESAが年に1回横浜で開催している
日本国内最大のゲーム開発者向け技術交流会(Wikipedia調べ)です。
3日開催され、朝から夕方まで60分の講演 + 30分程度の休み時間 … の連続で主にゲームに関する知見を得ることができるイベントです。

 

ペラコンとは

一言で言えばゲームデザイナー向け企画力コンテスト(?)です。
参加希望者はA4の紙1枚に、「テーマ」に基づいて15秒ほどで理解できるゲームの企画を書きます。
書いた企画書は所定のフォームに提出します。
そして、提出された企画書は、審査員の方々によって審査されます。

最終的に、CEDEC3日目の夕方に「順位(全体の中で何位だったか)」「プラスに評価した審査員の名前」「コメント(審査理由やアドバイスなど)」といった審査結果が発表されます。

企画書の募集は、テーマの発表とほぼ同時に行われます。
今年はCEDEC開催1週間前から募集が行われました。

参加者の幅は業界で働かれているプロの方、セミプロ(専門学校の先生方など)の方、アマチュア(学生など)と広く、
今年は250名程度がエントリーしたようです。

ちなみに私が投稿した作品はこちらです。

私は今年はじめて、このペラコンに参加してみました。
そこでゲームデザインをしていくに当たってかなりよさげな企画だったことがわかったので
参加のすすめとして記事を書きます。

まだ「ペラコンって結局どんな感じなの?」という方が大半な気もするので、
テーマの発表から順に私がやったことを紹介していきます。

 

テーマ発表

去年からペラコンに参加したいな〜と思っていた私は、
ペラコンのテーマ発表を待ちわびていました。

1週間前にようやくテーマが発表されました。

今年のテーマは「あやまる」!!
ひらがなでしたが、まあゲームジャムとかではこんなノリがしょっちゅうなので
動じずに、スケッチブックにブレストを開始します。

ちなみに今まで一番動じたテーマはQpic Game Jam2019の「ヒ」「〇」「前」でしたね……。
(参考: https://ecml.jp/archives/867)


(クリックで拡大)

あやまる – 「謝る(Apologize)」「誤る(Mistake)」「愆る(道に外れた行為)」「謬る(経済学でよくみるアレ)」とかを中心にアイデアを作っていきます。
途中でゲシュタルト崩壊を起こし私のテーマが「あやまる」 – 「あまやどる」とかになりかけましたが、この線ではあまりアイデアが浮かばずやめました。

結果的に「謬る」から、シナジー効果や合成の誤謬といった、
単なる1+1で終わらないゲーム、要素の組み合わせが楽しさを生むゲーム(パズルゲーム)が妥当か?となりアイデアをまとめ始めます。

パズルゲームをデザインする経験は浅かったのですが、
まあ偉い人も「ゲームデザイナーの基礎力はパズルゲームの設計で測れる」(?)的なことを言ってたような記憶がありますし
やってみようかな〜というノリでやっていきます。


(クリックで拡大)

最終的に出来上がったアイデアがこちらです。
レイアウトはA4にまとめる手法が思いつかなかったのですが、
ペラコンつよつよの人のブログ(http://a-fos.com/blog/?cat=3)を見た感じ

「中央にタイトルロゴ」「上に基本ルール」「下に応用ルール」が鉄板か?と思ったので
この法則に則ってラフを描きました。

右下のマップ部分が空いていたので、ちょっとレベルデザインしました。


(クリックで拡大)

ニュースーパーマリオやヨッシー、キノピオシリーズみたいに
・基本操作がわかればクリアできる(しかし低得点)
・頭をひねれば高得点クリアできる
2つの条件を達成できればいいかな〜という意図でやっていきました。

この段階で、だいたいレイアウトとコンセプトが完成です。
どう清書したものかという感じでしたが
・カジュアルなパズルゲームっぽい
-> カジュアルゲームっぽいグラフィック(ドット絵とかボクセル)で
-> 明るい雰囲気がよい(ダウナーな雰囲気にはしたくない)
という連想をもとに、ポップな感じに、ボクセルで仕上げる方向性になりました。

この後はモデリングとイラレあるのみです!!!
モデリングはMagicaVoxelを使います。

このメイキング画像載せたかったがためにブログ書いた まであります。

そしてだいたい素材ができたので、Illustratorで配置していきます。

タイトルロゴはインパクトがある書体で。
日本語フォントはゼルダBotWの日本語フォント的なのを使いたかったのですが、
Adobe Fontになかった(正確には細いのはあった)ので近い感じのやつを。

そして完成です!


(クリックで拡大)

 

反省

ペラコンは提出すれば、審査員の方々からコメントがもらえます。
(審査員の方はとても豪華メンバーでした)

これだけでも非常にありがたいのですが、企画に対して大勢の人にフィードバックをもらうという機会がなかったため、
欲を出してしまいCEDECで会っていただいたゲーム業界の方々にも持って行って感想をいただきました。
(感想やアドバイスを下さった方、本当にありがとうございました)

結果、以下の2つのことがわかりました。

・シート自体にわかりにくさがあった
・ゲームルールが公平すぎた

 

「シート自体にわかりにくさがあった」について

先述した通り、ペラコンでは15秒ほどで理解できるシートが求められます。

シートを読んでもらったところ、「赤い車/青い車」ルールが少し複雑だったようで、
シートの上下部分に視線を往復させる人が多かった感じがあります。
また「赤い車」が間違った道に行く必然性がないよね?という指摘も受けました。

ここから、わかりやすさと必然性を向上させるためには登場人物にわかりやすいビジュアルを持たせるべきではないか、と思いました。
例えば、ゼルダ大地の汽笛のように、いい車(ゼルダでは普通の機関車の見た目)と悪い車(ゼルダではボム兵的な見た目)の区別をはっきりつけたら、
見る人は一瞬で悪い車を間違った道に誘導すべきだとわかるのではないか…と予想しています。

 

「ゲームルールが公平すぎた」について

高得点を得るためには多少のかけひきがありますが、プレイヤーの労力に対するフィードバックが小さい気がする、との指摘も受けました。
プレイヤーは得点を得るために頭を使い、フィードバックは得点というだけです。

ゲームデザインとしての気持ち良さを増強させるために、時間停止アイテムなり道のショートカットアイテムなりの導入をすると、
ゲーム自体にもっと魅力を持たせられるのではないかと考えました。

 

ペラコンはいいぞ

…といった感じで、普段企画書を書いて、反応をもらう体験がない人も、ペラコンに応募したらフィードバックを得ることができます。

経済学部としてだと、ビジコンなどで企画書を書く機会はありますが
基本的に順位として「審査員の総意」が見られるだけで審査の過程を見ることはできません。

ただ、ペラコンは各審査員の感想を見せていただくことができるなど、色々な学びがあります。
私も来年以降もまた挑戦していきたいと考えています。

それでは 今回はこの辺りで!